<質問>
私は、産業機械のメッキ工場を経営している日本人です。3〜4年前にタイ人の技能実習生を雇用していました。彼は、技能実習期間を終え、タイへ帰国しました。最近の人手不足から、彼を技能実習生としてでなく、一般の労働者として雇用契約を結び、雇用したいと考えています。
<回答>
2019年4月から新しい在留資格である「特定技能」が新設されています。メディアでも話題になっていたので、話を聞いた方は多いのでないでしょうか。1号と2号に分かれており、「特定技能1号」については建設や造船、宿泊、外食産業など特定の産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となります。特定の産業分野については現在、14分野があり、ご質問の件について、御社は産業機械製造業分野に該当すると思われますが同分野での今後5年間の最大受入れ見込数は5,250人となっています。対象となる外国人については、国内又は国外の試験(技能・日本語)に合格した外国人又は「技能実習2号」を良好に修了した外国人となっています。また、受入れ機関については、
① 労働、社会保険、租税関係法令を遵守していること、
② 1年以内に非自発的離職者や行方不明者を発生させていないこと、
③ 5年以内に出入国・労働法令違反がないこと
等が求められています。
なお、「特定技能1号」については、妻子などの家族の帯同が認められないこと、最大で5年間までの滞在しか認められないことに留意して、将来の生活設計を立てるように進めてください。受入れにあたり、受入機関については、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援をする義務が課せられており、「1号特定技能外国人支援計画」を作成しなければなりません。また、雇用契約については、
① 報酬額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること、
② 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させること、
③ 報酬、福利厚生施設の利用等の待遇で差別的取り扱いをしないこと
等の条件が課せられています。
中小企業の現場での人手不足は深刻になっているようで、募集広告を出しても人材が集まらないという話をよく聞きます。技能実習の経験があり、仕事の知識・技能がありながら、タイへ帰国している人たちを積極的に採用して、業績を伸ばしていくのも良い考えだと思います。