タイ古式マッサージ ピヤダ
ジェーンさん
ジェーンさん(左)
来日中の愛娘・ポンペンちゃんとともに。将来はミスタイランド?
マッサージ店で大事なのは確かな技術と細かなサービス
私の故郷はイサーンのウドンターニー。田んぼばっかりの田舎。すごい貧乏で、お父さんは借金いっぱいでした。だから私は、家族を助けるために日本に行こうと思ったんです。それが19年前。日本語学校には一度も行かなかったよ。誰も教えてくれなかったから、生活しながら仕事しながら覚えたんです。日本に来たばかりの頃は借金があって、本当に貧乏だった。日本のお米、おいしいのにちょっとしか食べられなくて。食べたい、食べたい、そればかり考えていました。今は食べたいものいくらでも食べられるけど、太るね(笑)。日本には3年くらいましたが、タイに帰りたくなっていったん帰国しました。タイにいるときはいろんな仕事しましたよ。市場に炭を売りに行ったり。炭を売っていると鼻の中が真っ黒になるの(笑)。
でも、タイに帰ってもいいことは何もなかった。だから日本に戻ってきました。マッサージ店を始めたきっかけは、私のお姉さんが日本にいてマッサージをやっていたこと。当時、お姉さんは働いていたお店でいじめられていて、かわいそうだったの。だったら私がお店やる!と決めたんです。私はマッサージのこと何もわからないし、知り合いもいなかったけれど、お姉さんがいいお友達を何人も連れて来たんです。最初、お店にはベッドが7つしかなかった。だけどお姉さんもお友達も、みんなマッサージが上手ですごくまじめだから、お客さんいっぱい来てくれた。今までこの仕事が続けられているのは、いいスタッフがいてくれたから。私一人では絶対できない。みんなお金がほしいだけじゃない、心があるの。5年間お店やってきたけれど、今は常連さんがいっぱい。本当に私はラッキーだと思う。
お店を始めるときは、私もタイでマッサージの資格もとったけど、マッサージはすべてスタッフに任せています。今、横浜にはタイマッサージ店は70軒くらい、伊勢佐木町にも10数軒あって、今も店はどんどん増えています。その中で生き残るためには、やっぱり一人一人のお客さんを大切にすることが大事。うちは若いだけのスタッフはいらないの。まじめでマッサージが上手な人が条件。だけど、お店は技術だけでもダメ。日本人はきめ細かいサービスを喜ぶから、技術とサービス両方が必要なんだと思います。マッサージはサービスの仕事ですからね。
お客さんの男女比は半々かな。夫婦や親子、家族で来てくれる常連さんも多いです。お客さんがこう言うの「若い女の子に会いたいときは他の店に行く。でも、強くて本物のマッサージをやってもらいたいときはピヤダに来る」って。それってうちの女の子たちがかわいそうじゃない?(笑) だけど、ピヤダの常連さんは、あちこち他の店に行ったとしても、必ず戻って来てくれるの。昔は7つしかなかったベッドも、今は17に増えました。だから10人グループで来ても大丈夫。土日は予約をしてもらわないと入れないくらいになりました。
タイで暮らす家族と親戚が 日本での仕事の原動力
田舎の仕事は今も畑だけ。お米の収穫は1年1回だけだから、お金が入るのも1回だけ。兄弟や親戚はみんな貧乏です。毎週のように、ときには毎日のように「ミルク代ない」「ガソリンない」「お金送って」って電話がきます。電気代、ガス代、全部送ってるよ。ときどき嘘の電話がくるときもある。嘘だとわかっても送る。でも、しょうがないね。だから社長は言うよ「あなたは親鳥で、親戚は小鳥みたいね。いつもお腹空かせてエサを待ってる」って。
タイには1年に2、3回帰ります。向こうでは、どこかにでかけるとなると、20人、30人くらいになるから、2階建てバスを借りないといけないの。例えばだれかをレストランに連れて行くと「なんで自分は誘ってくれない?」ってことになるから、いつも大人数。ホテルに泊まる場合は、3部屋くらい予約します。親戚が「泊まってみたい」「ブレックファスト食べてみたい」といってやって来るから。買い物も大人数。だけどお金を払うのはぜーんぶ私。タイに帰ると本当にお金をいっぱい使うよ。多分、タイに帰らなかったら、日本で家がつくれたかもしれないですね。タイでは全くプライベートはないし、ときどきあーっ!!って、イライラすることもある。もし(親戚のことを考えずに)自分のことだけ考えられるなら、すごく幸せなんだと思う。どこにでも好きなところに行けるし、心配事もなくなる。だけど親戚の子どもたちが「おいしい、おいしい」といって、ご飯を喜んで食べているのを見るのはうれしいし、私にとって人と一緒にいることは、幸せなんです。たまにはタイに帰国することを黙っていようかな?と思うときもあるけど、やっぱりさみしくなって結局「帰って来たよ」って電話しちゃう。自分が大変になるのにね。でも、みんなと一緒にいると楽しいんです。そして日本に帰ったら、また仕事をがんばろうという気持ちになる。私が一生懸命仕事をする理由の80%は、家族や親戚のためなんだと思います。サバイサバイな性格なの、私は(笑)。
今タイでは学校がお休みなので、娘のポンペンが遊びに来ています。この子が日本に来るのは4回目。いつもはウドンターニーで暮らしています。将来は私の代わりに親戚たちの面倒を見てもらいたい。娘には、自分だけ楽しもうなんて思ってはダメ。いとこや親戚を大切にして愛しなさいと話しています。彼女にはしっかり勉強してもらいたい。そして他の人を助けることができる仕事をしてほしいと思いますね。
タイの文化が紹介できる 大きなレストランシアターを作りたい!
遠い将来のことはまだわからないけれど、親戚たちがきちんと学校教育を受けて、いい暮らしができるように手助けしたい。それが自分の目標。それからタイの文化が紹介できる劇場を作りたいという夢があります。ミスタイランドを日本でやってみたり、タイに行かなくてもタイのショーが見られるようにしたい。そうすると、タイ人にも仕事ができるし。でも、本当に自分にお金がいっぱいあったら、捨てられた子どもたちを集めて面倒を見たい。ちょっと夢が大きすぎるかな? だけど、なんで世の中のお金持ちがそういう子どもたちを助けないのか、不思議に思いますよ。
タイマッサージに関して言えば、これだけお店がいっぱいあると難しいと思うけれど、みんなバラバラに商売するのではなく、タイ料理協会みたいなマッサージの協会のようなものを作って、タイマッサージ全体が盛り上がるようになればいいと思います。本当は大使館などから承認があれば一番いいですね。そうなればタイマッサージ業界は、もっともっとよくなると思うんです。
タイ古式マッサージ ピヤダ
神奈川県横浜市中区伊勢佐木町3丁目107
Kビル伊勢佐木5・6・7F(受付6F)
045-253-7441
12:00~翌2:00(受付)
年中無休 大晦日・元旦も営業
http://piyada.jp/