サワディーカップ!長岡です。
コロナ禍においても弊事務所への就労ビザでの外国人の招へいに関するニーズは高まるばかりであり、日本社会における人手不足だけでなく、外国の方々の才能を世界中から求めていることが分かります。
タイの方が求められるのは、語学力や落ち着き、サービス精神もありますが、仕事におけるセンスの良さもタイの方々の良さとして認知されてきています。
近年、ご存知の通り、特定技能を始めとして外国の方々が仕事を目的として日本に在留できる方法、就労系在留資格の種類を日本政府は増やしてきています。反面、個々の在留資格も取得しやすくなったのかと言えばそうではなく、取得の難易度は増してきているように感じます。入管は日本に入る外国人の方々からすれば扉の門番のような役割をしていますが、日本に入れる扉の数が増えれば増えるほど、門番である入管の審査は厳格化される傾向にあるように感じます。
日本における就労ビザの条件には外国の方が不当に労働搾取されないよう「日本人と同等以上の報酬を受けること」が条件となっています。この定めは技能実習や特定技能だけでなく一般的な就労ビザである<技術・人文知識・国際業務>ビザやタイ料理コックさんに代表される<技能>ビザにおいても設けられています。
これまでは「日本人と同等以上の報酬を受けること」という条件は厳格に適用されず、明らかに給与が低すぎる、最低賃金を下回ることが明白である場合以外では見過ごされることが多かった条件です。しかし、昨今の労働法規の動きである<同一労働・同一賃金>の定めや特定技能ビザにおいては同種の業務を行う日本人と比較して同等以上でなければならないという厳格な審査の影響を受けて、一般的な就労ビザである<技術・人文知識・国際業務>ビザ等においてもこの「日本人と同等以上の報酬を受けること」の確認が厳格に審査され、そこに日本人よりも低い報酬で働いていると疑われる場合においては就労ビザが交付されない例が散見されるようになりました。
入管は就労ビザの審査において会社に就業規則や賃金規定の提出、また過去の日本人への求人票の提出を求め、外国人の労働条件が適切に扱われているかどうかしっかり確認するようになりました。審査の過程で、会社が労働者を集めるため広告として求人票に過大な給与や給与範囲が書かれていることが分かった場合(入管は会社のウェブサイトやインターネットにある求人情報も独自にきちんと調べます。)、なぜ外国人従業員の給与が低いのか、合理的な説明がない場合、就労ビザを許可しません。会社によっては就労希望者を集めるためインターネットや広告においては給与を高く書いたり、「いくらからいくらまで」と、さも高い給料がもらえるかもと期待させるような求人票を作成することがあります。そのような手口も入管はきちんと調べるため、注意してください。求人票にはきちんと外国人にも適用できる適切な金額を書くべきであり、また日本人と同等の待遇で迎え入れられるよう努力すべきです。また、そもそも会社は単に労働力不足を補うためではなく、日本人と同等以上の待遇でも受け入れたい外国人の才能だからこそ採用すべきです。
とにかく現在において会社が従業員を採用し、給与を支払うにあたりどのような条件を設定しているのか就業規則を求めることが多くなっています。そこに日本人と外国人との間に差があれば、その理由を詳しく問いただすようになっています。会社としては従業員のキャリアステップについてこれまで以上に真剣に考える必要があります。
なお、就業規則は労働基準監督署に届出るものですが、1つの事業所にて常時10名以上の従業員を使用する会社においては届出義務が課されます。入管に義務違反を指摘されれば就労ビザの交付を受けることは難しくなるでしょう。
この点、気を付けてください。