■質問
タイ料理店を営んでいますが、この度、初めてタイからコックさんを呼び寄せたいと考えています。どのようなことに注意して手続きを行えばよいでしょうか。
■回答
サワディーカップ! 長岡です。
さて、前回のワイワイタイランドのコラムに引き続き、今回はPart2と称し、タイ料理コックさんの呼び寄せと注意点について説明します。
前回のコラムでは、コックさんの呼び寄せにおけるコックさんの実務経験を確認することや書類の偽造を見破ることについて説明しました。この点の確認がしっかりできると呼び寄せの成功率が飛躍的に高まります。
ここからはタイ業界特有の注意点について説明します。コックさんが労働者としてタイ国を出国するためには、コックさんとレストランの間で交わした雇用契約書を在日タイ王国大使館に提出し、認証を受けなければなりません。タイ国法にこの規定があったとしても、正直な所長く運用の実績は見られませんでした。しかし、近年この運用が実施される例が多く見られ、日本の入国管理局での手続きのみを行って、雇用契約書の認証手続きを怠ったレストランがコックさんを呼び寄せられない例が散見されます。また、雇用契約書の認証は、コックさんが日本において転職した場合も必要です。つまり、新しいレストランと雇用契約を結んだ場合、改めて雇用契約書の認証を受けなければなりません。もしもこれを怠ると、帰省のためタイに一時帰国したコックさんが、タイから出国させてもらえず、日本に戻れなくなる可能性があります。これについても長らく運用されていませんでしたが、近年はタイ国法の規定を見落としたばかりに「コックさんが日本に戻ってこれない!」というトラブルが散見されるようになりました。
ここまでがタイ人コックの招へい手続きに関することですが、以下は来日したタイ人と共に働くにあたって大切なことを申し上げます。 私の事務所では現在、4人のタイ人スタッフが働いています。つまり私もタイ人の能力を活用し、実績を上げてきた経営者の一人であり、タイ人を雇用する経営者の方に申し上げたいことがあります。
タイ人はタイ人であり、日本人ではありません。感受性はあらゆる点で異なります。ここで特に意識すべきことのみを端的に申し上げます。経営者は、事業がタイ人の力無くして成り立たないことを自覚してください。そして、レストランの目指す「想い」をコックさんと「共有」してください。そのためには信頼関係が大切です。よって、雇用条件は明確にし、しっかりと雇用契約書に記してください。そして、絶対に条件に違反しないでください。想いを共有できないコックさんは辞めてもらえば良いですが、想いを共有するコックさんは全的に「信頼」してください。このとき、特にタイ人は強さを発揮します。また、タイ人は日本人に比べて、職場への帰属意識は希薄で、すぐに職場を去る傾向にありますが、家族はとても大切にします。そのようなタイ人が家族を残して来日するのは、日本に夢があるからです。経営者は日本における彼らの家族となってください。そして彼らの夢を叶える手助けをしてください。健全なタイ人であれば、その情けにきっと報いて、事業に多大な貢献をしてくれるでしょう。