■質問
タイ料理店を営んでいますが、この度、初めてタイからコックさんを呼び寄せたいと考えています。どのようなことに注意して手続きを行えばよいでしょうか。
■回答
サワディーカップ! エブリデイ、タイ料理の長岡です。最近では、日本料理を食べると懐かしい思いに満たされるまでになってしまいました。
一言にコックさんの呼び寄せ手続きといっても徹底的に解説するとなれば10ページは必要ですし、セミナーでも2時間みっちり話すことが出来るボリュームです。よって、ここでは確実に呼び寄せを成功させるための注意点とタイ業界特有の注意点、タイ人と働くにあたって大切なことに絞って説明します。それでも2号に分けて解説する必要がありますね。
さて、コックさんのビザを得るためにはタイ料理店を管轄する入国管理局へ<技能>の在留資格認定証明書の交付申請を行います。在留資格を一般的にビザと呼称します。
ビザを得るためには様々な条件をクリアしなければならず、今回において最も重要なのはコックさんの実務経験です。まず先に実務経験の条件をクリアしているかを調べなければなりません。なお、タイ料理人として呼ぶ場合、タイ料理の実務経験が必要です。中華料理など他の外国料理の経験はタイ料理人としての実務経験とは判断されません。
ビザを得るためには原則10年以上の実務経験が必要です。ただしその証拠が必要ですから、まずはコックさんより<履歴書>と実務経験を証する<職歴証明書>を提出してもらいましょう。<職歴証明書>とはコックさんの働いていた職場からもらうもので、コックさんがいつからいつまでタイ料理人としてその職場で働いていたことを証明するものです。
ここで注意点です。<職歴証明書>は偽造されることも多く、ビザ申請を受けた入管は現地の職場へ連絡し、その内容が本当かどうかを確認します。そこで偽造が判明することもありますが、万が一、偽造された<職歴証明書>が入管のチェックをすり抜けたとしても、後日日本領事館のチェックで偽造と判明することもあります。コックさんより<職歴証明書>の交付を受けたタイ料理店はその内容が本当かどうか、きちんと確認を取ってください。それを怠ると、タイ料理店も罪に問われる場合があります。
もう一つ注意点として、個人商店としてタイ料理店を営んできたコックさんもいますが、タイ国ではそのような場合、税務申告を行っていないことも多く、実務経験を積んできた公的な証明や第三者からの証明が得られないことが多く、呼び寄せは非常に困難です。
なお、タイ国労働省の行うタイ料理技能試験にて初級以上を獲得した証明書がある場合、例外的に5年以上の実務経験でビザを得ることが出来ます。ここで注意点が3つあります。
1つ目は、条件に該当しない類似のタイ料理技能試験があり、誤った証明書が多く出回っていること、2つ目は、ビザの申請時点においてタイ料理人として1年以上継続して就労していなければならないこと(日本で働くからといって早まって仕事を辞めてはいけない)、3つ目は、直近1年間の給料がタイ国の平均賃金を上回っていること(2015年において月額13,000BT以上)の以上3つの点に注意を払う必要があります。
以上について問題ないことが判明すれば、ビザの成功率は非常に高いと言えるでしょう。
次回はタイ業界特有の注意点の他、タイ人と働くにあたって大切なこと、またコックさんの家族に対して気を配るべきことについて解説します。
それでは、次回をお楽しみに!