私は23歳のタイ人です。お母さんは10年前に日本人と結婚して、日本でタイマッサージ店をやっています。私はタイの大学を卒業して今は日本で両親と一緒に生活しています。まだ日本に来て3ヶ月ですが、私はお母さんのタイマッサージ店で働くことができるでしょうか? 何か必要な手続きがあったら教えてください。
まず、現在のあなたのVISAの種類はなんでしょうか? あなたがお母さんの子供として未成年のころに「定住者」としての在留資格を認められていれば働くことにはなんの制限もないのでタイマッサージ店で働くことに問題はなく、また入管に届け出る必要もありません。しかしあなたのVISAがいわゆる学生VISAであったり、就労VISAであれば問題が生じます。
学生VISAであれば勉強をするために日本国政府はVISAを許可しているのであり、就労VISAであればその仕事をするためにVISAを許可しているのであって、本来の目的以外の活動(金銭を得る活動)をすることは基本的に認められていないからです。勿論、学生VISAなどを許可されていてアルバイトをしている人は沢山いますが、これは入管に届け出て「資格外活動許可」を得た人が行っているのです。
ではあなたも資格外活動の許可をもらえば問題ないと考えるかもしれませんが、事態は少し違います。資格外活動の許可をもらえればアルバイトを自由にできると思うかもしれませんが、労働時間や職種が制限をされるのです。時間は基本的には1週間で28時間以内、職種も水商売などの風俗関係の仕事は禁じられており、「マッサージ店」は風俗関係に該当すると考えられているのです。従って資格外活動許可を得てレストランやコンビニエンスストアー等で時間を守りアルバイトをすることには問題はありませんがタイマッサージ店でのアルバイトは認められていないのが実情です。
また、あなたと経営者は親子であるので金銭をもらわずに「手伝い」という形式をとれば可能のように感じるかもしれませんが、入管や警察の調査があった時にそれを信用してくれるかは微妙な問題なので私としてはお勧めできません。警察や入管が「資格外活動」であると判断をすればあなたはVISAを取り消され、強制的に帰国をさせられてしまうこともあるからです。この5年ほどで警察と入管は協力して多くの不法滞在者を帰国させることに成功したので、今後は表面上はVISAを持っているが実態がVISAと関連のない活動をしている人の摘発に力をいれてゆくと言われています。これは「偽装結婚」などが代表的な事例ですが、入管が許可をしていない場所でアルバイトをしている方も該当するのです。
これを読めば学生VISAや就労VISAの人がマッサージ店でアルバイトをすることは危険だということを理解できたかと思います。しかし、あなたがお金を貰わずに「手伝い」だけでもしたいとどうしても思うのであれば、いかに手伝いといえども入管や警察がそれを理解してくれるかはわからず、資格外活動と判断をされる危険性があるということを良く理解をしたうえで行動して下さい。