タイ人読者から今までに寄せられた、タイ国籍から日本国籍への変更に関する質問をまとめてみました。
Q1.タイ国籍から日本国籍へ変更した場合、タイの両親の財産について、
土地であれ他のものであれ、それを譲り受ける権利があるのかどうか。
Q2.日本国籍に変更した後、タイ国内に土地やその他の財産を購入することができるのかどうか。
また、それまでタイ人として有していたその他様々な権利についても、それを持つことができるか否か。
Q3.選挙権や、国民証など様々な書類を以前同様に作成することができるのか否か。
パスポートに関しても変更しなければいけないのかどうか。
Q4.日本人と結婚した場合、タイ国内での土地の売買に名を連ねることができるか否か。
Q5.国籍の変更に関し、どのような利点、もしくは不利な点があるのか。
Q6.日本国籍に変更した後、再びタイ国籍に変更することは可能か否か。またその手続きは複雑か否か。
Q7.質問以外に国籍の変更を考えている者にとって重要、有益であることがあれば教えて欲しい。
A
会員の皆さんから日本の男性と結婚するにあたって、国籍を日本国籍にした場合、財産や様々な権利はどうなるのかといった質問をいただいています。そこで、今回はまとめてお答えしましょう。
法律では、タイ国籍をもち、外国籍に変更した者、もしくは外国人との結婚にともなってタイ国籍を放棄した者、タイ国籍を抹消された者は、当然のことながらタイ国籍を失います。
会員の皆さんからの質問は、主に外国人男性との結婚に伴うタイ国籍の放棄に関するものです。この件について法律では、タイ国籍を有する女性が外国人と結婚した場合、夫の国籍を有することが可能です。もし、タイ国籍を放棄したい場合、その女性はタイの担当係官にタイ国籍を放棄する意志表示をする必要があります。その際、タイの女性と外国の男性との結婚は法的に正式なものであり、かつ、夫が同意していなければなりません。
つまり、もしその女性が継続してタイ国籍をもつことを希望する場合、それも可能だということです。タイ国籍を失うのは女性が、出生証明書、居住人登録謄本、そして婚姻を証明するものを担当係官に提出してタイ国籍放棄の意思表示をした場合ということになります。また、夫の国の法律が女性にその国の国籍を持つことを認めているということを夫が証言することも必要となります。そして、このようにしてタイ国籍を失った場合、その女性は夫と同じ外国人になったことになり、タイ国籍を持っていた時の様々な権利も失うことになります。土地の所有権や売買権、選挙権なども外国人としての権利になります。そして、国籍放棄によってタイ国籍を失った場合、国民証を所持する必要はなくなります。このことは、国民証を携帯しなければならないのはタイ国籍を有するものだけであると法律にも定められています。一方、外国人の遺産相続権に関しては、大臣の許可を得なければなりません。そして、合計は外国人が所有することのできる範囲を超えてはなりません。つまり、遺産相続権はあることになりますが、その範囲は、外国人に許される土地所有範囲内に制限されます。なお、タイ国籍に復帰したい場合は、外国人の夫との結婚が解消されていなければなりません。出生証明書、居住人登録謄本、離婚を証明する書類を担当係官に提出します。例えば、住所がバンコクの場合は公安警察の本部長に、地方にいる場合はその県の地方警察の警察長に提出します。外国にいる場合には、1回あたり1000バーツの手数料と共にタイ大使館もしくは領事館に提出します。なお、国籍を変更することの長所、短所ですが、まず、良い点は、夫同様の権利が得られるということです。良くない点は、生まれてからずっと持っていたタイ国籍を、色々な権利義務と同時に失うことです。しかし、住所を外国人の夫と同じ所にかえ、タイに帰国することを考えないのであれば問題はないでしょう。しかし、行ったり来たりしているという場合は、わざわざ国籍を放棄して面倒なことにすることはないと思います。
知っておくべき法律
国籍の異なる夫婦間の財産
結婚した国で法的に正当な結婚は、通常完全なものです。そのような正当な結婚をした場合でも、では夫婦間の財産はどうなるのか、夫の側の国の法律を適用するのか、それとも妻の側の法律を適用するのかという問題が出てきます。法律では、結婚前に取り決めをしていない場合、夫婦間の財産については国籍のある国の法に基づくとしています。もし夫婦で異なる国籍をもつ場合、夫の国の法律が適用されます。しかし、その財産が不動産の場合は、その所在地の法律を適用します。夫婦間の財産には、結婚前からの財産と、結婚して夫婦となり、生計を共にするようになってからの財産、もしくは遺産として得た財産などがあります。いずれにしても夫婦が結婚前に、夫婦間の財産をどうするかということについて取り決めをしていた場合、どちらの国の法律を適用しても、その結婚前の取り決めに遵うようになります。
国籍の異なる夫婦の離婚と離婚理由
離婚には以下のような2つの場合があります。
1.双方の合意による離婚
2.裁判所の判決による離婚
合意による離婚は、夫婦それぞれの国の法律が、裁判所に申し立てることなく自分たちで合意、離婚することを認めている場合に可能となります。しかし、タイの裁判所に離婚を申し立てて離婚判決がくだるのは、双方の国の法律が離婚を認めている場合ということになります。
一方、離婚申し立ての際の離婚理由は、申し立てをする国の法律に基づいたものでなければなりません。タイの裁判所に申し立てるのであれば、タイの法律に基づいた理由があげられなければなりません。