アソーク交差点の巨大な宣伝看板。
どのフィットネスクラブも派手な宣伝と強引なセールスで会員集めに必死だ
タイのお菓子は昔から非常に甘かった
タイ全土で行われている無料のエアロビクスダンス。場所によっては空気が非常に悪いこともある
第76回 肥満体増加とフィットネスプーム
スタイルのいい女性が多いことで世界中の男性から注目を集めているタイ。しかし、いまその国で肥満が重大な問題になっている。
世界保健機関(WHO)の調査によると、タイ人の肥満度はアジア太平洋地域でワーストの5位にランクされたらしい。とくに首都バンコクで運動不足による肥満が増加しており、その数は推定1000万人だとか。バンコクの全人口は6500万人だから、これだと市民の6.5人に1人は肥満体ということになる。過去5年間の統計を調べてみると、心臓病やガンの患者も増えているらしく、これらも肥満の増加に関係があると考えられている。
大人だけでなく、子どもの肥満も増えている。スナック菓子の食べ過ぎに要因があると指摘されたため、テレビなどでの宣伝を規制する動きも始まった。しかし、タイのお菓子は以前からかなり甘く、ものによっては砂糖のかたまりだったりする。暑い国だから、ある程度の甘さがないと体に効かないのだろう。それに加えてタイ人の主食は炭水化物の米だから、糖分の摂取が多くなるのは致し方ないのかもしれない。
それでもこれまでタイ人があまり太らなかったのは、彼らの食事回数が一日三度と決まっておらず、一回の食事量が少ないかわりに何度もとっていたからだろう。しかし、こうした習慣もオフィス勤務では難しく、胃に負担のかかる生活になってしまった。
黙っていたら肥満になる。そこでバンコクを中心にタイ人の間で猛烈なフィットネスブームが始まった。外資系の高級クラブが次々とオープンし、ブームをあおり続けているが、月々の会費は数千バーツとけっして安いものではない。それでも仕事が終わる夕方の時間帯は、どのクラブも大混雑だ。それだけ肥満や健康が気になる人が増えたということだろう。
そんなクラブに通えない人のために、最近は大通りの横の歩道に特設ステージを組んで無料のエアロビクスダンスが行われている。こちらもかなりの活況だが、なんといってもバンコクは世界有数の大気汚染の街。必死になればなるほど体に悪そうにも思うが、どうなんだろう?