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ワイワイタイランド.COM >  コラムカテゴリ >  ジャアク商会のガヤガヤタイランド >  【情報】もしも民主主義に失望したら?

【情報】もしも民主主義に失望したら?

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市民にとっては突然の娯楽だった戦車軍団。
しかし国際的には大きなマイナスとなった

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クーデター翌日の市内は閑散として、とりあえずは緊張した

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「反タクシン政権=愛国」の思想で盛り上がった世論は次はどこへ向かうのか

タイ国内で久々に起こったクーデター。私は「やっぱりここはタイなんだなー」と痛感したし、タイらしくていいとさえ思ったが、そういう存在は珍しいようで、周囲の人間はそろって腹を立てていた。いわく、
「タイは民主主義の国だと思っていた!」
「もっと発展した国だと思っていた!」

バンコク市内を突き進む戦車をニュースを目にした人々、特に駐在などの形でタイに長期滞在している外国人はそろって「これまでの10年はいったいなんだったのか!」と憤り、落胆した。彼らは周囲の知人や派遣先の本社に自慢できる国で働いている、あるいは住んでいると思い込んでいたにもかかわらず、実情は政情不安な中南米の小国レベルだったということが明らかになってしまい、どうにも恥ずかしかったのである。この時代にあれほど派手な軍事行動を起こしたら、世界に対してはもはや隠しようがない。

私自身は、先月号にも書いたように、この国における軍事クーデターは形を変えた解散総選挙のひとつの手法だと思っているので驚きもしなければ腹を立てることもなかった。しかし、なにをもって国家の危機と判断したのか、具体的な証拠がはっきりしていないのが気になるところ。政治汚職が要因とされているが、クーデターから数ヶ月を経たいまだに有罪の確証がなにも得られていないことが、どうにもすっきりしない。

タクシン前首相が職権を乱用して悪らつに金を稼ぎまくったのは事実だろうが、この人が実に細かい気配りを──同時に金配りも──して国民の間に名前と実績を浸透させていたのもまた事実である。人心をつかむための多彩な技をあの手この手で狡猾に繰り出して、まったく憎らしいとさえ思える人物だった。

ハートをしっかりつかまれた人たちの多くは、いまだに前首相を親しく思っている。武力を使った破壊的方法で前政権を倒した政府は彼らの盲信──かどうかはこれからわかる──までも打ち砕くことができるのだろうか。できて始めてクーデターは成功だが、できなかったら? その失望感がどこに向かうか、想像するだけでも怖いことに……。