非常に正しい施術を施しているマッサージ師。昨今のタイ式マッサージの堕落を嘆く声は多い
古式按摩という文字に不純を感じる人は少なくなくなってしまった
暗く殺風景な個室の中にマットと枕がひとつ。マッサージ師にお色気がたっぷりなら、おかしくなってしまう人もいるだろう
タイ古式マッサージは、タイ国内ではきわめて普通に目にするものだが、最近は日本国内でも非常に一般的になりはじめた。韓国式垢すり、中国式按摩に続く自然な流れで流行しだし、いまではブームに乗り遅れまいとする勢いで都会を中心に店舗が増殖中だ。
夕刊新聞にもよく広告が出るようなになったが、目にするたびに頭に浮かぶのは「これってマトモなの?」という思いだ。なんたって掲載されているのが風俗広告欄だし、紹介されている女性の写真もちょっとあやしい。彼女たちは本当に普通に古式スタイルでコリをほぐしてくれるのだろうかと、いつも思ってしまうのである。しかも、タイ式マッサージの広告には必ずと言っていいほど「玉もみ」という言葉が書かれている。そのものズバリの行為を表現しているが、これが日本におけるタイ式マッサージの目的になってしまっているのではないかと私は危惧しているのだ。
この「玉もみ」はタイ式マッサージにおいては正統な技で、体と睾丸を結ぶ神経をもみほぐすことによって腰の疲れを取る目的があるらしい。しかし、ひとつ間違えればただの性感マッサージといえないこともなく、本家タイ国内でさえこの部分だけを強化して営業している不純な店が多くある。玉をもむだけではなく、その先の激しい行為にまで進むことができる店も少なからずあるが、こうなると腰の疲れを取るどころではない。
こんないけない店であっても看板は普通に「タイ古式マッサージ」になっているのだが、こうした亜流のタイ式マッサージが日本に流れ込んでいるような気がしてならないのだ。だったら自分で調べろといわれても、日本でタイ式マッサージを受けたら軽く1万円は用意しなければならない。タイでの相場(2時間で1000円くらい)を知る私には、なにか非常にもったいない金額で、なかなか行く気が起こらないのだ。
実は、この「玉もみ」に関しても気になっていることがある。正統な技というけれど、女性客はどうしているのだろう。それに変わる特別なサービスがタイ式マッサージにはあるのだろうか。女性も腰痛になるのだから・・・。