【情報】ブームで終わるな日本食！
最近のタイは日本文化がブームになっている。意味不明の日本語が書かれた服が市場で売られて人気だし、日本のアイドル事情をレポートするティーン向け雑誌もよく売れている。日本語そのものも以前より通用するようになり、「きれい」や「おいしい」の意味は若い人なら必ず知っているのではないかと思うほどだ。その流れを受けたか日本食も大ブームで、富士レストランや禅、８番ラーメンといったチェーン店の前には空席待ちの行列ができている。料金的にはけっして安くはないが、土日はカップルや家族連れで大にぎわい。そして、そんな日本料理店の調理場のほとんどがタイ人だけで仕切られている。日本料理は日本人にしか作れないという時代は終わり、今やタイ人のためにタイ人が日本料理を作る時代になっているのだ。
しかし残念なのは、日本人の大半が「日本料理は日本人が作らなきゃいけない」と思いこんでいること。その思いは宗教的信仰にも似て、曲げることなどできそうにない。「外国人に和食がわかるものか」と言いたいのだろうが、だったら日本はどうなんだ。白人コックのいる洋食店が日本に何軒ある？ 中国人が料理長の中華料理屋はどこだ？ フランス料理の鉄人はなぜ日本人なんだ！…と、やや興奮してしまったが、要するにそれは日本人の頑迷な偏見に違いない。
そこで自説を確信させるために、タイ人の間で大人気の某チェーン店に行ってみた。これだけ客がいるなら、まずいものは出てこないはず。そう思って天ぷら定食を頼み、みそ汁をすすってびっくり。なんだこりゃ？ もう一度すすって確信した。だしが入っていないのである。これはちょっと…と思ったが、周囲のタイ人たちはおいしそうに食べている。だしの入っていないみそ汁なんて唐辛子の入っていないトムヤムよりひどいと思うんだが、どうなのか。あるいは、タイ人たちはこの味を日本の味だと信じて口にしているんだろうか。
違う！ 断じて違うぞタイ人のみんな！ 今こそブームに踊らされず、本当の味に親しんでくれ！と叫びたくなったが、こんな私の熱い思いはどこまでみんなに通じるだろう。いつか機会があればサイアムスクエアあたりで彼らに真実を伝える説法をしたいのだが…なんて思う私はもっとも頑迷な日本人だったりしてね。
