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【情報】楽園はどこかに消えた

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なんとなく集まっているデモ隊と警官。
王宮周辺ではデモ隊の姿を見かけない日はない

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軍事政府が作った新憲法の是非を問う国民投票の通達ポスター。結果次第ではまた混乱も

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ロングステイヤーを誘致するパタヤーで今年8月、日本人の老人が飛び降り自殺した

 

タイは近年、外国人の国内滞在に制限を加えるようになった。まずはビザの申請を厳しくし──なぜか日本人に対してもっとも厳しくしたようだが──続いてノービザ入国回数に制限を加えた。

これまで援助を続けてきた国の人々は「どうして我々外国人に厳しくするのか?」と思うかもしれない。しかし、タイ人以外は日本人でもリビア人でもすべて外国人だ。タイより経済力がなく発展もしていない国からやってくる人も少なからずいるし、そうした人々もまた外国人である。このところ、そうした人々がタイ国内で犯罪に手を染める事件が目立っているため、入国規制が強化されたという噂だ。

この入国規制はシンガポールと深い関係があった前政権の首相が同国のシステムを真似たとも考えられている。しかし、シンガポールに暮らす外国人のほとんどは金(収入)を得るのが目的で、タイの場合とはちょっと違う。シンガポールと同様、タイも非常に強くなったバーツ目当ての不法就労者が多くいるが、それより多いと考えられるのが「なーんにもしないでこの地に暮らそう」と決めた人々だ。その、おしゃれに言い換えると「ロングステイヤー」と呼ばれる人たちの首が、タイ政府によって次々と発表される法改正によって徐々に締められている。

アジアの楽園と思われていたタイだが、最近は一方的にそうも言えなくなっている。バーツ高で外貨を替えて生活している人たちの物価はこの1年で30%も上昇したし、法律はいとも簡単に、しかも外国人に不利なように改正されるのが事実として突きつけられている。そう、この国では、たとえ天国のような状況が続いていても、一夜で地獄になってしまう可能性があるのだ。盤石に見えた政権でさえ戦車が走れば転覆する。タイは、実はまったく安定していない国なのである。

今後のことも、政権自体が安定していない──安定するのかもわからない──この状態では、だれにもわからない。外国人が老後を過ごすには、いまのタイはかなりリスキーな国と言えるだろう。