カオサン会場のメインスポンサーはコカコーラ。
スタッフも気合いが入っている
初登場のバブル噴射マシーン。
楽しいがソンクラーンとは関係ない気が……
禁止のはずのペーン(白粉)だったが、使用は誰にも止められない
ソンクラーンが終わった。今年は直前にバンコク市内北方のラチャヨーティンで年末の首都連続爆弾テロと同じ(らしい)仕掛け爆弾が破裂し、公衆電話ボックスが3つ破壊された影響でソンクラーンの騒ぎ──もはや“祭り”とは書きたくない──も縮小されるかと思ったが、興奮した一般大衆にはほとんど気にされることはなかったようだ。ただし警戒は厳重で、バンコクでもっとも人が集まるカオサン通りには警官のほか軍隊も動員され、ものものしく警備に当たっていた。
当局のそうした努力もあってテロこそ起こらなかったものの、ここ数年で常識になったケンカ騒ぎはやはり今年もあちこちで発生した。水をかけられて腹を立てた男が水鉄砲ではなく本物の鉄砲で撃ち返して相手を射殺したり、水バケツを角材や刃物に持ち替えて攻撃するなど、水掛けと同様に騒ぎはどんどん過激になっている。幸いにも多数の警官が出動していたので事後の動きは速かったが、今年も低レベルな子供の運動会に終始した感は否めない。
なんの予備知識もなくこの騒乱を目にした外国人は、「どうやらソンクラーンというのは泥酔も無礼も暴力も許される3日間らしい」と勘違いしてしまうかもしれない。実際にそう思われている部分もあるようで、他人に迷惑をかける行為に執心していた連中はかなりいた。現行軍事政権はタイ人に規律を求めている様子なのに、こういう連中に真のタイ文化を指導する熱意が欠けていたのは残念だ。
思慮のある人は騒ぎから離れ、金のある人はタイそのものから遠く離れる。それが最近のソンクラーンだ。タクシン前首相は「ソンクラーン休暇を長くすると気持ちがゆるみすぎる」と言って連休を短くしたが、現行政権はその逆に4連休を5連休にする延長命令を出した。前政権のすべてを否定するのが現政権の特徴だが、タイ人に対してはいったいどちらが正しいのか。結果はこれからの数ヶ月間で、きっと誰の目にも明らかになるはず。