ラープラオ通りソイ21の入口
普通の住宅街にある普通の小道
地上げで取り壊された民家の跡
タイの某ラジオ局が「バンコクの最も危険な路地」なるものを発表した。それによると、危険度No.1はチャトゥチャック区のラープラオ通りソイ21だという。続くNo.1はラクシ区のウィパワディー通りソイ64、No.3はバンコクノーイ区のチャランサニットウォン通りソイ37だ。さて、それらの路地にはどれほど危険な雰囲気が漂っているのだろう。
幸いにも、私はいまバンコクに住んでいる。だったら想像するより行ってみたほうが早いというわけで、地図で位置をチェックし、さっそくそこまで行ってみた。そことはバンコクで最も危険な路地、ラープラオ通りソイ21だ。地図で見ると、その路地は地下鉄ラープラオ駅のすぐ横にある。こんなところにバンコクで最も危険な路地があるのだろうか?
どれほど危険かわからないので、とりあえず手持ちの護身用具でひそかに武装し、まだ明るい午前中に行ってみた。暗躍という言葉があるように、いかに悪党どもでも朝から活躍していることはないだろう。
地下鉄の出口から少し歩くと問題の路地の入口に出た。民間のレスキュー車がさりげなく停車している。それだけで充分に危険な雰囲気が漂っている……が、本当にここがその路地なのか確信が持てない。なにしろ、どう見てもただの住宅街の、どこにでもある路地にすぎないのだ。
人の姿はまったくないが、民家がないわけでもない。ただし路地の出口に近い便利な一帯は地上げのせいか取り壊され、空き地と化している。そこには雑草が生え、夜はかなりあやしい雰囲気になるだろう。奥には民家とタウンハウスが並んでいる。地下鉄駅に近くて便利だろうが、夜間の一人歩きはたしかに怖そうだ。
しかし、こんな路地はバンコクにはいくつもある。ここは危険度No.1かもしれないが、No.1とNo.100の危険度レベルは、さして違いがないのではなかろうか。
バンコクの夜はどこも危険だ。そう言ってしまうと身もフタもないが、ここは連続爆弾テロの犯人象すら特定されていない街である。路地裏はどこも危険地帯という認識を持つのが、まずはふさわしいこの街の歩き方なのかもしれない。