私の弟が今度観光VISAで日本に来ることになりました。
弟は日本で何かアルバイトをしたいようですが可能でしょうか?
また、観光VISAを延長したり、ほかのVISAに変更したりすることは可能でしょうか?
まず、最初に理解していただきたいのですが「観光VISA」というものはありません。観光、親族訪問、保養などを目的に来日したい人のために発給されているのは「短期滞在」という在留資格です。
あなたの弟は「短期滞在」なので、原則的に報酬を得る活動は禁じられています。当然アルバイトも禁止です。ここでいう原則とは仕事をして報酬を得ることをいいます。知人に頼まれて家の掃除をした謝礼金や、テレビのクイズ番組でもらった賞金などは該当しません。
しかし、ここでのアルバイトとは明らかに飲食店や建設現場での労働を意味していると思われます。これは不法就労に該当します。現実には「短期滞在」で働いている人もいるようですが、明らかな入管法違反になります。発覚すれば、退去強制(強制出国)事由となり、今後5年間は日本に入国できなくなります。軽はずみにアルバイトなどしないよう弟よく言い聞かせてください。
日本政府は、短期滞在で来日してそのまま帰国せずに日本で就労している人の数を把握しており、その人数が多い国に対してはVISAを簡単には発給しなくなります。わずかな人間の行動により、ほかの多くの善良な人が不利益を被るということを知っておいてください。
また、このような人を雇うことも法律で禁じられており、雇い主にも罰則(3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金)が適用される可能性があります。雇う場合はきちんとした外国人登録などを確認してから雇うようにしましょう。
次に「短期滞在」の延長および変更についてですが、こちらも原則的には許可されません。例外的に法務大臣が「更新をすることに相当の理由がある」と認めた場合に許可をされることがあります。例えば、日本滞在中に事故に遭って入院しているような場合が該当しますが、単にもう少し日本にいたいというような理由では到底認められません。
VISAの変更についてですが、日本人と結婚した場合などは変更が認められることがあります。また、年老いた祖国の親が短期滞在で来日し、その後同居し、面倒を看なければならない場合なども認められることがあります。しかし、これらは法務大臣による特別な計らいであって当然に許可がもらえるものではありません。
そのため日本人と結婚して「短期滞在」から「日本人の配偶者」への変更を申請して不許可になったということで相談に来る人がいますが、決して珍しいケースではありません。単に、入籍だけすればよいと考えて安易に申請をしても、国際結婚の半数以上が偽装結婚ではないかと疑われている日本の現状を考えれば不許可になるのも仕方ないことなのかもしれません。
まとめると、「短期滞在」中のアルバイト(就労)は原則的に認められません。また、延長および変更は特別な事情がなければ許可されません。許可を得るには特別な事情を立証しなくてならず、申請者側が入管に理解してもらうための正確かつ具体的な資料を提出する必要があります。万一、不許可を受けたがそれでも特別な理由が自分にはあると思う人は、1日も早く専門家に相談してください。立証方法を変えることにより、帰国せずに済んだ人もいます。