日本人と結婚しているタイ人女性は多いと思います。万が一ご主人が亡くなられた場合、相続が発生します。相続とは、ご主人の財産が相続人に移転することです。相続人とは財産をもらえる権利のある人のことで、一般的には奥さんと子供です。子供が無い場合は奥さんとご主人の両親、両親が生存していない場合はご主人の兄弟と奥さんが分けることになります。
法律はその分け方を決めています。1番はご主人の遺言状に従う 2番は相続人たちが話し合いで決める 決まらない場合は法定相続分に従って分ける。しかし、現実は簡単には分けることはできません。私の経験から以下のような問題が多いように感じられました。
日本人の相続人の協力が得られない
財産のほとんどが奥さんに渡るため、日本人親族は納得しない。財産の移転をするためには、相続人全員の印が必要ですが印をなかなか押しません。まして結婚生活が短い場合や、ご主人と同居していない場合は感情問題になり、相当難しいと思います。権利があってもなかなか現金にはなりません。
タイ人妻が法定相続分を期待しすぎる
妻の相続分は他の相続人との関係によって二分の一とか三分の二とか、四分の三とかになります。妻がこの法定相続分を主張しすぎるため、他の相続人から結婚そのものを偽装結婚だと主張され、婚姻無効の訴えを起こされ、相続人を否定されることもあります。相続分は遺言もなく話し合いがまとまらない時の目安にすぎないと考えるべきです。
相続財産とは
ご主人名義の財産で土地や建物、銀行預金、株券などご主人の借金も含まれます。例え1億円の預金があっても借金が2億円あるなら、相続人が1億円返す事になります。相続財産の調査を行い、場合によっては3ケ月以内の相続放棄の手続きも考えることをお勧めいたします。
ビザの問題
夫が日本人であればほとんどの妻は日本人配偶者などの在留資格だと思います。しかし、夫がなくなると、妻は日本にいる法的根拠がなくなるため、ビザの更新ができません。そのため、時間のかかる相続手続きが難しくなります。定住者や他のビザヘの変更を検討してください。
解決方法
普段より夫と仲良く同居し遺言状を作ってもらうことが最良の方法です。遺言方式は何種類もありますが、私は公正証書遺言で相続執行者を就ける方法を勧めております。この方法は法的間違いがなく、また他の相続人の印もいりません。従って手続きの時間もあまり必要としません。しかし、遺言ですから夫の気が変わり、その後また別の遺言を作成された場合は、新しい遺言が有効になります。確実に財産をもらう方法は、生前に贈与してもらうか、負担付死因贈与契約でかつ執行者を明記これを公正証書にするしかないと私は考えます。果たして夫が納得するかどうかは私には分かりませんが。とにかく外国人の関係する相続は難しい。夫が亡くなる前に専門家に相談し対策を考えてください。