サワディーカップ!長岡です。
これまで何度か離婚手続きや再婚手続きの中で必要な役所での手続きやビザの手続きについて解説しました。また、ワイワイタイランドNo.229において<離婚から再婚までの流れと入管への届出の種類>というテーマにて女性の再婚禁止期間に触れつつ、具体的な手続きの内容について説明をしました。
弊事務所には年間2,000件を超える相談が寄せられていますが、再婚禁止期間について悩む方が多いため、今回は再婚手続きの中でも特に女性の再婚禁止期間について説明したいと思います。
再婚禁止期間というものは読んで字のごとく、離婚をしてから一定の期間、再婚が禁止されるという法律の規定です。この規定は日本国法とタイ国法において、男性には適用されず、女性のみが対象となります。なぜ女性には再婚禁止期間というものがあるのでしょうか。それは生まれてくる子どもと父親との父子関係を安定させるためにあります。
女性は妊娠をし、直接自分のお腹から子どもが生まれます。だから、自分の子どもの母親が誰なのかということは明確です。男性の場合はどうでしょうか。ある女性がAという男性と離婚し、直ぐにBという男性と再婚したとします。そして、期間経たずして子どもが生まれたとします。この場合、DNA鑑定をしない限りAとBのどちらが生物学上の本当の父親か判断ができない状況が生じます。そのような不安定な状況は特に子どもにとって不幸となるでしょう。
よって、日本法では再婚禁止期間を100日と定めています。しかし、上記の通り、それは妊娠している子どもの父親が誰であるか迷わないためです。よって、再婚時に妊娠していない場合(再婚前に出産した場合も含む)、100日を待たずに再婚することができます。
日本人同士の再婚の場合は以上の知識だけで十分でしょう。しかし、日本人とタイ人の再婚においてはタイ国法も知る必要があります。
タイ国法の再婚禁止期間は310日となっており、日本法よりも長い禁止期間が定められています。ただし、タイ国法も再婚禁止期間を設けているのは妊娠している子どもの父親が誰であるか迷わないためです。よって、タイ国法においても再婚時に妊娠していない場合(再婚前に出産した場合も含む)、310日を待たずに再婚することができます。
では、日本人とタイ人が再婚する場合、どのように考えれば良いのでしょうか。これには決まりがあります。法の適用に関する通則法という法律があり、法律の異なる者同士が結婚する場合、法律をどのように解釈するかが決められています。
簡単に言うと、結婚(再婚の場合)に関する法律は、抵触する規定について厳しい方を用いると決められています。例えから理解しましょう。
(例1)日本人男性とタイ人女性が再婚する場合でタイ人女性が妊娠していない。
→すぐに再婚できます。
(例2)日本人男性とタイ人女性が再婚する場合でタイ人女性が妊娠している。
→女性が離婚してから310日経過(男性側の離婚の時期は関係ない。)、または出産後に再婚できます。
以上から再婚禁止期間については日本法より更に厳しいタイ国法が適用されることが分かります。
(※なお、以上の例は日本人女性とタイ人男性が再婚する場合も同様です。)
ここから、再婚禁止期間の適用を受けるかどうかは再婚時に妊娠しているかどうかにかかっていることが分かりますね。
それではまた会いましょう!サワディーカップ!